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「っふ…!ぁッあ…!くぅ、ううぅッ!」
「イイ声になってきたな。もっと喘げよ…っ下にいる2人に聞かせてやれよ…!」
貫かれるたび、痛みと恥辱と快感で身体が悲鳴を上げる。
涙を必死にこらえて歪む瞳で、私は目の前の男を睨み付ける。
──私の弟。
いや、弟になるはずだった男。
頭の中で思い描いていた幸せな家庭が音を立てて崩れ落ちる。
……どうして、
どうしてこんなことになってしまったんだろう──
* * * * *
物心ついたときから私には母親がいなかった。
でも全然悲しくなんてなかった。
お父さんが大切に大切に育ててくれたから。
厳しいけど、すっごく優しくて私のことを一番に考えてくれたお父さん。
そんなお父さんに恋人がいたと知ったのは去年のこと。
なんと5年も付き合っていたらしい。
「なんで今まで黙ってたのさっ」
そう怒ると、お父さんは申し訳なさそうに「戸惑わせてしまうと思ってな」と言った。
そんなことない。
むしろすっごく嬉しかった。
私の通っている学校で3年生の担任と国語の教師と生徒指導を務めているお父さん。
休み時間でも家に帰ってからも忙しなく働いているのを毎日目にしていた。
そんなお父さんにもちゃんと心休まる場所があったんだ。
それを知ってすごくホッとした。
…そして、私はすぐさまお父さんにこう告げた。
「ねぇ、私もその人に会ってみたい。だってもうすぐ私のお母さんになるんでしょ?」
私のお願いにお父さんは動揺して固まっちゃってたけど、それから数日後、顔を合わせるがてらみんなで外食しようという話が決まった。
・ ・ ・ ・ ・ ・
「………」
「なんだ柚希(ゆずき)。緊張してるのか?」
「だって…っこんなかしこまったとこなんて思わなかったんだもん…!」
「大げさだな。別に普通の所だろう」
…と、お父さんは言うけれど
お店に入ってすぐ巨大な水槽の中の巨大なカニに迎えられ、着物姿の気品溢れる店員さんに席まで案内してもらって、チラリと見たメニュー表には当たり前のようにステーキやらアワビやらという字が並んでいた。
私が今まで入ったことのある外食屋さんとは空気がぜんっぜん違うのは明らかだ。
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