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「バイブには劣るだろうけど…これも奈津なら気に入ってくれると思って」
囁くような声と突然聞こえてきた鈍い振動音にハッと我に返り顔を上げる。
漫画や小説で何度も目にしたことのあるピンク色の小型の"オモチャ"を掲げて、お兄ちゃんは冷ややかな笑みを浮かべていた。
「変態の奈津はこれが何かわかるよね? なんて名前か教えて?」
「……し…知らない…っ」
「嘘つき。…早く言えよ。バイブでオナってたことみんなにバラされたいの?」
「…ロッ、ローターでしょ!!」
「ああっ!やっぱり知ってたんだ! なんて不埒な妹なんだっ。お兄ちゃん悲しい!」
舞台役者さながらのわざとらしい嘆き方に苛立ちが一層強まる。
あからさまに不機嫌な表情を浮かべる私。
お兄ちゃんはそんな私を嘲笑うかのように、再び皮肉な笑みを私に向けて囁く。
「…さて、そんなドスケベな奈津ちゃんに問題です」
私の側へ歩み寄り、お兄ちゃんはスイッチを切ったローターを私に差し出す。
「このローター、一体どこに当てるのがベストでしょーか?
パンツを脱いで脚を広げて、答えとなる場所にこれを当てて下さい」
「…はっ…?」
苛立ちや困惑の入り混じった顔でお兄ちゃんを見上げる。
お兄ちゃんは相変わらず、感情の読めない笑みを私に向けていた。
『早くしろよ』
その笑顔はそう訴えかけてるようにも見えた。
……私はお兄ちゃんの玩具。
逆らうことは許されない。
「…っ」
唇を噛み締め、私はそろそろとパンツを脱ぎその場に脚を開いて座った。
刺さるような視線を下半身に感じながら、ローターをクリトリスにそっと押し当てる。
「…正解。それではご褒美です」
振動を調整するダイヤルにお兄ちゃんの親指が軽く添えられる。
「ふゃっ!ッ、んんぅっ…!」
緩やかな痺れがその敏感な部分をくすぐり、私はとっさにローターを手放した。
「離したら駄目。そのまま一番気持ち良い所に当ててて」
そう言い捨てると、お兄ちゃんはポケットから手のひらに納まる程度の箱を取り出した。
パッケージを見た瞬間それは絆創膏の箱だとわかった。
中から絆創膏の束を出して、一枚切り取り剥がしてそれを私の快楽を絶えず煽っているローターに貼り付けた。
それから何枚もの絆創膏を使ってローターがクリトリスから離れないようにしっかりと固定させていく。
「…これくらい頑丈に固定したら取れないだろ」
「…ん…っ、ん、ぅ…っ」
…これから何をする気なの?
不安げに見詰める私をよそ目に、お兄ちゃんは私のタンスの引き出しを勝手に開け中を物色し始めた。
「一番短いスカートってどれー?」
「なっ…んで」
「スカート履いて、そのままコンビニ行ってエロ本買ってきて」
「は…!?」
「今日発売した『犯され制服少女』って雑誌ね。宜しく」
「馬鹿じゃないのっ?!そんなことできる訳…っ」
「逆らうんだ?」
突然低くなった声色に背筋がゾクリと凍る。
お兄ちゃんは笑っている。
だけどその笑顔は冷ややかで、絶対的な制圧感がひしひしと張り詰めていた。
…逆らえば…、私のした恥ずかしいこと全てが親や友達にバラされる……
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