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「わかった…っ。買えばいいんでしょっ!変態野郎!」
「それはお互い様」
睨み付ける私をものともせず、お兄ちゃんは私に白いプリーツスカートを手渡す。
それは私が中学生だった頃に購入して、それから処分することすら忘れてタンスの奥で眠っていたものだった。
中学生の頃より体は大分成長している。
履いてみると、予想してた通り、少し前かがみになっただけでお尻が見えてしまいそうなぐらい短かかった。
…こんなの履いてコンビニ行くなんて…
羞恥心や不安が入り混じって心臓がバクバクと痛いくらいに鼓動する。
「んじゃ、行ってらっしゃ〜い」
ヒラヒラと呑気に手を振るお兄ちゃんを背に、私は苛立ちをぶつけるように玄関のドアを乱暴に開け外に飛び出した。
外は真っ暗で人影はどこにも見当たらない。
早く事を終わらせようと、私は急ぎ足でコンビニへ向かった。
早く…早くコンビニに行かなきゃ…。
焦る気持ちとは裏腹に、足がガクガクと震え徐々にペースが乱れていく。
「…ん…っ」
微弱に、だけど的確に振動が最も敏感な所を捕らえ続けていて、とても正常に歩くことなんて出来なかった。
何度も電柱にもたれかかり気を落ち着かせながら何とか歩を進める。
普通なら10分足らずで着くはずが、コンビニに着き時間を確かめるともう20分を過ぎていた。
店内に入りすぐさま雑誌のコーナーへ向かう。
パチンコ関係の雑誌を立ち読みしている男の人が一人。
エロ本コーナーに立つと、その人がチラッと私の方を向くのがわかった。
恥ずかしさに顔が熱くなるのを感じながら私はとにかく指定された雑誌のタイトルを探した。
…だけど、隅から隅まで見渡してもその雑誌は見付からない。
鞄から携帯を取り出してお兄ちゃんに電話をかける。
すると、私からの電話を待っていたかのようにワンコールもしない内に電話が繋がった。
『はいはーい』
緊張感のない声が受話器から流れる。
「ないんだけど、雑誌…!」
『…え、俺なんてやつ欲しいって言ったっけ?』
「はっ? あの…っ、制服のでしょ!」
『んー、名前ちゃんと言ってくれないとわかんない』
…絶っ対わざとだ。
だけどここで言うのを拒んだところでお兄ちゃんが許してくれる訳がない。
「…っ…お……犯され制服少女…っ」
私は周囲を気にしながら聞こえるか聞こえないかくらいの小声でタイトルを口にした。
『何ー? 聞こえない。もっと大きい声で言って』
「…っこの…!」
あまりのその意地悪っぷりに、頭の血が沸くような感覚がした。
唇を噛み締め、何とか怒りを抑えて半ば投げやりに叫ぶ。
「犯され制服少女っ!」
当然周囲にその声は響きわたっただろう。
店内にいる人全員の視線が私に集中しているような気がして、耐えきれず無意識に身をすくめる。
『……あぁっ、ごめん。それ発売まだだった。緊縛ランドってやつ買ってきて』
はあああああっ!!?
思いもよらないお兄ちゃんの非道すぎる発言に、私は思わず頭の中でそう叫んだ。
…ムカつく…。ムカつく、ムカつくっ!!
逆らえない悔しさにうなだれる私なんかお構いなしに、それどころか私を更に追い詰めるかのように、お兄ちゃんの分身とも言えるピンクローターが秘部をくすぐり続ける。
「…くっ…!」
再び唇を噛み締めて、タイトル通りの雑誌を抜き出しレジへ持っていく。
店内は30代後半くらいのオバサンで、それだけはほんの少しだけ気が楽だった。
会計を済ませてそそくさと店を後にする。
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