01 02 03
「優衣」
一段目を踏んだところで私は聞き慣れた声に呼び止められた。
振り返るといつもと変わらないぶっきらぼうな表情の先輩が立っていた。
「な…何……っや!」
グイッと乱暴に腕を掴まれる。
そしてそのまま先輩は私を引っ張ってどこかへ連れて行く。
角を曲がるとき階段の方を見ると山田君がポカーンと呆気にとられた顔で立ち尽くしていた。
「…ちょっ、先輩! 離して下さい…!」
先輩は私の言うことを無視してどんどん歩いていく。
そして行き着いた先は男子トイレ。
「や…っ! 恥ずかしいよっ…!!」
私は抵抗したけど体格のいい先輩の力にはかなわず、あっさりと中に引き込まれてしまった。
個室に入って鍵を掛けると、先輩は私が出られないようにドアに寄りかかって私を半ば睨み付けるように見据える。
「なっ…何でこんなことするんですか…?!」
「それはこっちのセリフ」
「……っ?」
「お前、男と一緒にいるとこわざと俺に見せ付けてるだろ」
「……!」
核心をつかれて言葉が詰まる。
それと同時にみるみる顔が熱くなっていく。
「俺を苛つかせて楽しいか?」
…"苛つかせて"…?
「な、に言ってるんですか…っ? ただ遊びで付き合ってるくせに!!」
「…は?」
「作り笑いしてれば喜ぶと思ってるんでしょ?! どうせ私は扱いやすい都合のいい女ですよね!」
「オイ、待て。いつ俺が…」
「もういいです!好きじゃないってわかってます…っ!
本当に私のこと好きなのか知りたくてわざと嫉妬させるようなことしてきたけど…全然怒ってくれないし……っ」
今までの不安を思い付くままにぶちまける。
すると不意に腕を引かれキツく抱き締められた。
「…へ…っ? せ、先ぱ……っ! ん…っ」
見上げると途端に先輩の唇が私の唇を塞いだ。
最初はビックリしたけど、いつもと違う荒々しいのに愛情を感じてしまうようなその口付けに私は次第に身を委ね目を閉じた。
「……っ!!」
何度も角度を変えて唇を重ねていると、私の口の中に先輩の舌がゆるゆると入ってきた。
それは私の歯をなぞるようにうごめいて、そして舌に絡んでいく。
こんなにいやらしいキスをするのは初めてだった。
胸が凄くドキドキ鳴って頭がぼんやりしてくる。
「んっ、ぅ…っ」
荒々しい口付けに呼吸が追いつかず、徐々に息苦しさを感じてきた頃
先輩の指がくすぐるように私の太ももを撫で始めた。
内ももを撫でられ私は思わず身じろぐ。
「ん、んん…っ! や…っ!」
下着の上から一番敏感な部分をクッと押されて、突然湧き上がった快楽に私はとっさに顔を背けて声を上げた。
「や…、やああ…っ!」
先輩の指は止まらず、そこを摘んだり掻いたりして弄ぶ。
「…嫉妬しない訳ないだろ」
ふと、落ち着いた低い声が私の耳に響く。
「男と付き合うの初めてって言うから、傷付けないように気使ってた。不安な思いさせてたなんて知らなかった…」
「ん…っ、せ…先輩…」
「ごめんな、優衣…」
ふわりと頭を撫でられる。
真実を知った私は安堵感に心を満たされた。
もう一度キスがしたいと思い先輩を見上げる。
…その瞬間、
「きゃ、う…っ!!」
下着の隙間から指が差し入ってそのまま躊躇なく中に沈められた。
快楽が一気に体を突き抜けビクッと体が強張る。
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