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 「二宮…っ?」


現れたのは私と同じクラスの二宮だった。

なんで私の所に…?


二宮とは一言も口を聞いたことがないくらいまるで接点がない。

意外を通り越したまさかの訪問者に私は目を点にして固まり尽くした。


「ずっと話しをしたいって思ってたんだ」


……え?

なにそれ、まさか告白っ?!


不覚にもドキドキしながら次の言葉を待っていると、二宮はポケットから携帯を取り出していじり始めた。


「…これ、美月さんでしょ?」


突き付けられた携帯の画面

そこにはコンビニでエロ本を買っている私の姿が写っていた。


あのときのだ…!

写真を撮られてたなんて気付きもしなかった…っ。


「まさか美月さんがこんな変態だったなんてねぇ」


「…っ、それで私を揺すろうっての?」

睨み付けると二宮はニタリと薄気味悪い笑みを浮かべた。

そして間髪入れず、獲物を捕らえる獣のように勢い良く私の上にのしかかってきた。


「や…っ!! 何す…っ」

「写メばらまかれたくないだろ? おとなしくしろよ」

「いやぁっ!」


二宮は息を荒くして私の胸を強引に揉みしだく。


「あ? 何、お前ノーブラ?」

「っん…!触んない…で…っ!」

「とか言って、声エロくなってんじゃん」


ニタニタと嬉しそうに笑う二宮。

敏感になってる胸の先の部分に手が当たるたび感情とは裏腹に快感が走ってしまう。


…でも違う。

お兄ちゃんにやられてるときとは全然違う。

ただ乱暴なだけの手つき。

気持ちいいより気持ち悪いの方がはるかに上回ってる。



…嫌だ。誰か助けて…っ!


そう願う私の脳裏に映っていたのは、奇しくもあの鬼畜なお兄ちゃんの姿だった。

いよいよ二宮が私の制服を脱がしにかかった。


…ヤバい。胸を見られたらコイツますます調子乗る…っ!


「いやぁあっ!!」

「暴れるな!言うこと聞けよメス豚っ」


メス豚…って、リアルでそういうこと言うなよ!キモい!!

そんなことより、どうにかして逃れなきゃ…っ

でも力じゃ勝てっこない。どうしよう…っ!


頭の中がぐちゃぐちゃでまともに考えることすらできない。

とにかく私は必死で足をばたつかせて、脱がされまいとブラウスのボタンを握りしめて抵抗した。


「写メばらまいてもいいのかよっ? 手どけ……っ」


「……っ?」


突然、二宮の動きがピタリと止まる。

どうしたのかと視線だけ移動させて恐る恐る表情をうかがってみると、とんでもなくマズいことでもあったかのように酷く歪んでいた。


そして何も言わずにおもむろにベッドから降りたかと思うと一目散にカーテンの外へと出て行った。



──ガラッ


「…あら、どうしたの?」

「あっ、いや、その…怪我して、絆創膏貰いに来ただけです…っ」

「そう」


…ああ…そっか

誰かが近付いてくる音が聞こえてきたからあんな慌てて逃げ出したのか。


良かった…助かった…

私は布団の中に潜って深くため息をついてドクドクと激しく鼓動する胸を押さえた。

 

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