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 「…へぇ、って…!」


それだけ?!

実の妹が酷い目に合ったっていうのに…。


…私のことなんて、どうでもいいってこと……?


「で、気持ちよかった?」


「…はぁっ?!」


心無い言葉に怒りを込めて見上げるとお兄ちゃんの視線がやけに鋭く刺さってきた。


反射的に背筋にゾクリと寒気が走る。


何…お兄ちゃんの表情…。

笑ってるのに、全く笑ってないみたいな不気味な感じ…。


──ギシッ


「っあ…!」


怯んでいる間に私はベッドに乗り上がってきたお兄ちゃんにあっさり押し倒されてしまった。


「こんな風に簡単に体許したんだ?」

「……っ」


近距離で視線が絡むと軽い恐怖さえ感じた。

唇が震える…。声がうまく出せない…。

私はなるべく目を合わせないように首を振って投げかけられた言葉を否定した。


「どうせアンアンよがってたんだろ?」

「ち、が…っ ぅ、あ!」


下着の上から割れ目を乱暴に押し開けられて入り口を刺激される。

胸の快感ですでに濡れていたソコは途端に恥ずかしい水音を響かせた。


「なんでこんなに濡れてんの? そんなに良かったんだ、そいつに犯されたの」

「や…っ! あ、あぁ!」


違う!

そう叫びたくても、口からは甘ったるい声しか出てこない。


グリグリと下着越しに擦られて、敏感になっている胸の先端を痛いくらいに噛まれる。

激しすぎる感覚に自然と涙が滲んできた。

「いやぁ…! 痛いよ…っやだ!」

「乱暴にされた方が感じるだろ? 変態だもんなぁ、奈津は」

「あぁっ! やぁ…っあ」


必死に首を横に何度も振る。

その拍子にポタリと涙がこぼれた。

流れ落ちた一粒を追うように後から後から涙が伝い落ちる。


するとようやくお兄ちゃんの動きが止まってくれた。

でもその代わりに今度は涙が止まらない。

悲しかったとか怖かったとか色んな感情がごちゃ混ぜになって涙になって溢れ出す。


「ぬあぁーーー…っ!」

「ふぇっ?!」


よくわからない気の抜けた声と共にいきなりお兄ちゃんの頭が私の胸に乗っかってきて、私もよくわからない声を上げてしまった。


「…お、兄ちゃん?」


「…ごめん…。目の前真っ赤になって…暴走した」

「まっ、真っ赤?!」


「そう。危険色…警戒警報…踏み入れてはならないデッドゾーン…」


…あ、お兄ちゃん気が滅入ってるんだ。

昔からの癖。

酷く落ち込んだりするとこうやって意味不明なことを呟く。


…こんな状態になったお兄ちゃん久しぶりに見たなぁ…。

そんなことを考えてる内にいつの間にか気持ちは落ち着いていた。

というより、自分のことよりもお兄ちゃんの方が気にかかる。


「…どうしたのさ…大丈夫?」

「無理」

「えぇっ?!」


「はぁ…。奈津がアホ男子にあんなことやそんなことされたのかと思うと…ああああ…っ」

「あ…それはその…」

「よし、そのアホ拉致して学校の屋上から逆さ吊りにする」

「ちょっ!何言ってんの!! 駄目!絶対! ていうか未遂だからっ!」


「…未遂?」

「ちょっと胸触られただけなのっ! 携帯も今私が持ってるし…っ!」


「胸は触られたんだ」

「でもっ全然平気だから! 携帯に入ってたデータで逆に脅し返してやるつもりだし…っ」


「………」


「な…何、その目」


「胸は触られたんだーー…」

「あんただってベタベタ触りまくるくせに、なんなのそのリアクションッ」


「嫉妬」


「…は…っ?」


「アホが奈津の胸触ったことも腹立つし…何より、可愛い声聞かれたのが…ああぁ…」


「そんな声出すわけないでしょうが! 気持ち悪いだけだったんだからっ!」

 

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