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全てはこの見た目のせい。


アッシュカラーのふわクシャロングヘアを赤緑黄白のクリスマスカラーのぽんぽこシュシュでトップでまとめて、

メイクに一番時間をかけてる目は上下つけまつげドバーン。黒いアイラインがっつり。

季節感無視のホットパンツと、胸がガバッと開いたエロトップス。


私の外見は、可愛いギャルにもなりきれてない下品な小娘だ。

だれもが私のことを頭の悪い、品のかけらもないアホ女と思うだろう。


けど違う。

こう見えて私は、手芸大好き・家事大好きな、チョー女の子らしい女の子なのだ!
ちなみにシュシュも手作り!


…本当はこういう格好はしたくない。
ゆるふわがいい。今よく耳にする森ガールとやらになりたい。

でも、こうなる道を選んだのは私自身だ。


高校生の頃の私。

高校デビューに憧れたアホな私。


どうしてもどうしても、彼氏をゲットして学園恋愛というドキドキでキラキラな経験をしたかったのだ。


だから無理してオシャレして、恋バナの尽きない一番派手な女子のグループの輪の中に入り込んだ。


それからなんやかんやで後には退けなくなり、二十歳になった今でも派手派手な偽りの自分をつくろっている。


この身なりのおかげで体目的の男は簡単に言い寄ってきた。

セックスのことしか考えてないとわかっていても、私は寄り添える相手が欲しくてチャラい男のチャラい告白をあっさりOKしてきた。


でも、どんなに体を重ねても心から満たされたことは一度もない。

後に残るのは虚しさだけ。


…私はいつまでこんな状態を続けるんだろう…。


なんて考えてたらパンツに雪が染みてきてお尻がすんごい冷たくなってきた。寒い。

…早く帰ろう…。


気持ちを切り替え、さて立ち上がろうと顔を上げたそのとき、一人の男性とバチンと目が合った。


「…あ」

私は思わず声を漏らす。


ちょっと眠たそうな表情。けれど男らしい整った顔立ち。

頭の片隅に追いやられてた記憶がドッと溢れ出す。


「…夏見…?」

「やっぱ広瀬か」


目の前にいる男性はなんと、高校時代の同級生だった。



とはいえ系統が全く違ったため、まともに話したことなんて一度もない。

ただ3年間同じ教室で学校生活を共にしてきただけ。


…なのに、まさかこんな状況のときに出くわすだなんて…!

ていうかいつからいたのっ!?


「さ、さっきの…見てた…?」

「別れるって嘘でしょ? から」


最初から最後まで見られてるーーーーっ


「な…っ、ぁ、あ…っ」

「ずっと座り込んでるから、変なところでも打ったのかと思った。…放心してただけか?」


お優しい気遣いをかけてくれつつ夏見は私の前にしゃがむ。


…ぅあ…やっぱりイケメンだなぁ。密かに女子に人気あったもんなー。


…いやいやいや、見とれてる場合じゃない! どうしよう! この無様な一部始終を他の同級生に言いふらされたら!


友達から友達にどんどん広がって…

クラス中、いや学年中の笑い者にされてしまう!

そんなのいやああああっ!


「まだ放心中?」

「…あ、のっ」


何としてでも口止めしなきゃ…!

硬直している私の頭をポコポコとチョップしてきた夏見を見上げ、私は引きつった声を絞り出した。


「のっ、飲みに行かないっ?」



・ ・ ・ ・ ・


都合も聞かず唐突に誘ったにも関わらず夏見はしれっとした表情のまま気軽に「いーよ」と答えてくれた。


いい加減寒さが限界にきてた私は近くにあった飲み屋を適当に選んで早足で中へと入った。


席に案内されてる間、イチャイチャラブラブとお酒を飲み交わしているカップルが嫌というほど目に入り、心まで寒くなっていく。


飲まなきゃやってられない私は早速ビールを注文した。


「…俺はウーロン茶」

「ん、お酒飲まないの?」

「車だから」

「そっか」


注文を受けた店員さんが忙しそうに厨房に駆けていく。

前に座っている夏見はメニューとにらめっこ中。


うーん…勢いで誘い出したものの、夏見と面と向かって話すなんて初めてだから切り出す内容がない…。


…なんとなく気まずい沈黙。

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