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濡れた睫毛を伏せ、何か言いたげに唇を結ぶ優奈を置いて、遥斗は棒を捨てに行こうと身を起こした。
「まっ、待って!」
自分の上にいた遥斗の拘束感から解かれ、物悲しさを感じた優奈はとっさに声を上げてリョウの服を掴んだ。
「何?」
「…こんな…っ、中途半端なのヤダッ…!」
「だから?」
上気した瞳を向ける優奈に、遥斗はわざとそっけない表情と言葉を返す。
優奈は視線を泳がせ数秒の沈黙を作り、一段と眼に熱気を宿してぎこちなく口を開いた。
「…も…もっと…最後まで…っ」
それ以上の言葉は羞恥が込み上げ、とても口にすることができなかった。
真っ赤になった顔を隠すようにうつむく愛らしい優奈に、遥斗は冷徹をつくろった表情を思わずほころばせる。
そして服を掴む手を優しくほどくと、棒を畳に置いて真っ直ぐ冷蔵庫へと向かっていった。
バタッとドアの開く音。
一寸の間を置いてわずかに漂ってきた冷たい風に、冷凍庫を開けたのだと気づいた優奈は、何のために? と疑問を抱いて顔を上げた。
──バタン
再びドアを閉める遥斗。
その右手にはビニールに包まれた真新しいミルク味の棒アイスが握られている。
「え!? なんであるのっ?」
「これでホントに最後」
「さっき全部なくなったって…」
「あれ嘘。一人でコッソリ食おうと思ってた」
「何それ?! サイテーッ!」
卑怯だ、セコいズルいと、ビニールを破く遥斗に向かって優奈は体の火照りも忘れて吠えたてる。
それを右から左へ聞き流し、遥斗は取り出したばかりのアイスを持って優奈の脚を跨いだ。
「丸々一本お前にやることにしたんだから、そんな喚くな」
「えっ…私にやるって…、っ!!」
仁王立ちになってる遥斗から偉そうに吐かれた言葉の意味を理解した優奈は反射的に後退った。
「やっ…、いいよもう! 後で食べるから…っ」
「もっと、って言っただろ」
「あっ、あれは…!」
「まだまだ物足りないんだろ?」
挑発的な笑みに射抜かれ、先ほどまでの感覚が蘇る。
再び下半身の中心が心臓のように熱く鼓動し始め、優奈は視線から逃げるように顔をうつむかせた。
体を下ろした遥斗は早速ずり落ちたキャミを掴む。
「…や…っ」
羞恥心が弱々しい声になって漏れ出す。
いつもとは違う乱れた行為とそれに溺れて期待してしまう自身を恥じらうも、一度火のついた興奮を抑えることはできない。
優奈は遥斗にされるがまま畳に寝かされ、上気した顔を見られまいと腕で隠し、これから来る冷たくも甘い感覚を待ちわびた。
「……っ」
ジワジワと胸に近づいてくる冷気を感じ、息を呑む。
いつ訪れるのかわからない衝撃に神経は限界まで張り詰めていた。
そして──、
「っあ! あああっ!!」
凍てつく電流が右胸に走った。
アイスは優奈の反応を楽しみながらゆるりと一周して、てっぺんの敏感な突起をつつく。
「や…ッ! まっ、待って、冷たすぎ……っ、んあ! ああぁっ!!」
冷凍庫から取り出されたばかりのアイスは皮膚が凍るほどの冷気を放っていた。
鋭い刺激が雨のように性感を刺し、暴れまわる。
頭から足の爪先まで痺れが行き渡り、優奈はアイスが移動するたびビクビクと全身を痙攣させた。
「ひあっ…! あッ、あぅ…っ!」
右胸に同調して固くシコリ立った左の突起を、遥斗の唇が緩やかに包み込む。
その中で熱い舌がうごめき、快楽の実を執拗にくすぐる。
時折軽く歯を立てられ吸い上げられ、一度おあずけにされた快感を惜しみなく与えられた優奈はたまらず歓喜の声を上げた。
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