01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12

「だ、め…っ!また…っおかしくなっちゃ…ッあ!あうぅぅっ!」


これ以上醜態を晒すなんて耐えられない。

けれど口に当てた指を噛んで心を奮い立たせても、規則的に最奥部を打ち付けられる貪欲な快感から逃れることはできない。


「や…ぃや…いやぁッ!あっあ…ああぁぁッッ…!!!」


ドクンッと膣内が大げさに脈打ったと同時に身体の奥で煮え立っていた感覚が一気に溢れ出した。


甘美な痺れが脳天を走り抜けて、無意識に仰け反らせた背中がビクビクと痙攣を起こす。


強烈な法悦に果てて白濁していく脳内。

それでも私の体は、性欲を発散するだけの彼の律動に掻き荒らされ続ける。


「…ッ、締まりすぎ…っ」


ドロドロに溶けた意識の中、彼の切迫した息づかいがふと聞こえてきた。


「ああぁッ!…っは、ア…ッ!!んんっ、んうううぅ…ッ!!」


その声をきっかけに、襲いかかる勢いが一層激しさを増し始めた。

どんどん荒くなっていく吐息。

過敏になった膣内に響く淫茎の脈動に彼の限界が近いことを感じ取った。


「んっんんんッ!!んぅ…っふ…うううううぅッ!!」


撃昂した切っ先が奥深くを突き上げる度に狂悦の高波が体中になだれ込んでいく。


めくるめく熱い衝動に散々喘ぎ尽くした喉が引きつって呼吸すらままならない。


このままじゃ本当におかしくなる…!
お願い、もう止めて…っ!!


グチャグチャになった頭の中でこの不浄な性交の終わりを願ったそのとき、胎内の深くに侵入していた彼の熱塊がビクンッと大きく脈打った。


「…ッ…!」


切れ切れの吐息と共に膨張した淫茎が引き抜かれ、そしてお腹や穿いたままの下着に生温かいものがジワリと染み広がっていった。


「っく…、はぁ…はぁ…ッ」


…やっと解放された…。

けれど今の私に起き上がって逃げ出す気力も何も残っていなかった。


天井を呆然と見上げたまま荒い深呼吸を繰り返していると、彼がフラリとベッドから降りてタンスをあさり始めた。


多分お風呂に入りに行くんだろう。

…私も早く全部洗い流さなきゃ…。

そうぼんやりと考えていると、部屋のドアまで歩いていった彼が不意に私の方に振り返った。


「ここまでされといて、まだ俺のこと助けたいとか馬鹿なこと考えてないだろうな?」

「……っ」


震える腕に力を込めて体を起こして彼を見据える。

苦痛。憎しみ。悲しみ。

彼の瞳には負の感情の全てが詰まっている気がする。


「恨むなら恨め。俺のことも、俺の母親も…そんな母親に言い寄った自分の父親もな」

「っ…! お父さんは関係な…っ」


私が言い終わるよりも先にドアがバタンと冷たい音を立てて閉じられた。


「………」


途端に、胸が締め付けられるほどの静けさが部屋を包む。


「…っふ…、ぅ…う…っ」


緊張の糸が切れたと同時に一気に涙が溢れ出した。

涙は私のめちゃくちゃになった感情を全て吐き出すように次から次へととめどなく流れていく。


…私は、一体何を恨めばいいんだろう。

彼? 花野さん? それとも私自身?


これからどうすればいいの?


…もう何もわからないよ。

  Back Top

 

inserted by FC2 system