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「…っ指じゃなくて、夏見のが、欲しい…っ!」
それは演技でもなんでもなく、心からの欲求だった。
恥じらいすら捨て去れるほどに私は身体は貪欲に夏見を求めていた。
でも、それでも夏見は指を止めようとしてくれない。
不満を漏らそうと開いた私の口を唇で塞ぎ、反論はさせないというように激しく膣内を犯して、私の余裕を奪っていく。
「…ごめん。ゴムないから挿れられない」
「ふあぁあ…っ! んッ、く…っうぅぅう!」
「だから、これで我慢して」
「…っ…わ、私の鞄の中に、ある…っ」
息を切らせながらそう言うと、少しだけ指の動きが緩やかになった。
「そこはちゃんとしてたんだ」
「んっ…、ううん…、一応持ってただけで、使ったことはっ…」
「一回もない?」
「…ぅ…っ」
そこで、私は余計なことを言わなきゃよかったと後悔した。
真っ直ぐに私を見下ろす夏見の顔は相変わらずぼやけていてよくわからないけれど、声のトーンや漂う雰囲気から怒りの感情がひしひしと感じ取れた。
“うん”と答えるとその怒りを爆発させてしまう気がして、私は途端に弱腰になってしまう。
「私は、付けたかったんだけど…っカズヤが…! あぁッ!!ぅあああっ!」
おこがましい言い訳を口にすると、指が再び媚肉に猛威を振るい始めた。
夏見の怒りをそのまま表しているような獰猛な刺激に私は、激しく悶えながらも霞む意識の中で軽率だった今までの自分を恥じる。
「やああぁあっ!!ごめっ…なさ…!ぁああッ!」
嬌声混じりに無我夢中で何度も許しを乞うと、ようやく指が膣から抜かれて狂悦から解放された。
大きく肩を上下させて荒い呼吸を繰り返す私とは裏腹に、夏見は全く疲れた様子も見せずに鞄がかけられている私の席へと歩いていく。
その後ろ姿を眺めながら私はズルズルと床に崩れ落ちた。
体を支える力すらもう残っていない。
想いのままに『欲しい』なんて言っちゃったけど…、この体でこれから夏見を受け入れることはできるのかな。…正気を保っていられるのかな。
グラグラと揺れる脳内でそう怖気づいていると、夏見が私の鞄を手にして戻ってきた。
「はい」
鞄を手渡され、私は疲れとためらいの混じったぎこちない手つきで鞄の中のポーチからコンドームを一個取り出した。
「使い方わかる?」
「わっ…! わかるよっ、それくらい!」
夏見の中で私はとことん非常識なダメ女として認定されてしまっているんだろうか。
その汚名をなんとか挽回したくて、私は声を必要以上に荒げながら身を乗り出した。
そして勢いに任せて夏見のベルトに手をかける。
こんな展開になることを予測していたのか、夏見は憎たらしいほど平静なままだった。
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