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「広瀬は悪くない。俺が…自分の感情制御できなくなって暴走してるだけだから」


…夏見は私と同じくらい不器用な性格なのかもしれない。

そう思うと、甘くくすぐられるような愛おしさが心の底から込み上がった。


いつの間にか自由になっていた手をもたげて私は夏見の頭をそっと撫でる。


「…私は、大丈夫だから…夏見の気持ち全部、私にぶつけていいよ…?」

「……」

「私ももっと夏見のこと知りたいから…っ」

「…馬鹿」

「へっ!? なんでっ?」

「そう言ったこと、絶対後悔するよ」

「後悔なんかしないよ! だって本当にそう思えるくらい夏見のこと大好きだも…っむへ!」


ぎゅうっと力強く抱きしめられ、甘く疼いていた胸が一層激しく高鳴る。

苦しいくらいにキツく私を抱く夏見に応えようと私も両腕を夏見の背中へと回した。


「…好きです」

「……っ、私も…!」


小さいけれど確かに届いたその言葉に体中が喜びに震え、私は回した腕に力を込める。

胸いっぱいに満たされていく幸福感に酔いしれていると、夏見がふと力を緩めて顔を上げた。


「…っ…! ん…っ」


優しく、ゆったりと唇が重ねられる。

それだけで私の中の情欲は身を焦がすほどに熱く燃え上がった。


「んっ、んぅ…!」


浅い口付けはだんだんと熱を増し、お互いを貪欲に求めるように深く舌が絡められていく。

私はもっともっと夏見を感じたいと切望して、自ら頭をもたげて夢中で夏見の唇に吸い付き舌を伸ばす。


すると夏見の手が後頭部を包んで支えてくれた。

クシャッと髪を撫でられて、恍惚の痺れが全身に駆け巡っていく。


「んんっ…! ふぁ…!! んっ、ぅぅ…!」


膣内に埋まっていた夏見の熱が再び律動を始め、頭の中がたちまち快楽に支配されていく。


けれど夏見の動きはさっきよりも数段優しいものだった。

それでも私の体には強すぎるくらいの快感が送られてくる。

でも、夏見の何かに耐えているような吐息が私の心を痛く締め付けた。


「夏見っ…、我慢しなくていいよ…っ?」

「もう体、辛いだろ」

「辛くないからっ…いいよ、もっと激しくして…っ」


涙をこぼしながら夏見を見つめて、私は甘ったるいねだり声を上げる。


「カズヤとのこと、全部忘れられるくらいっ…、体の中、夏見でいっぱいにして…!」


壊れたっていいから、夏見の欲望を全て私に注いで欲しい。

それは演技でもなんでもなく、心から湧いた欲求だった。


想いを素直に口にすると、夏見がふと口元を緩ませた。

『本当に馬鹿だ』なんて声が聞こえてきそうな、いつも通りの憎たらしい笑顔だった。

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