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…いっつも興奮してうかれたり落ち込んだりしてるのは自分だけだ。ほんと馬鹿みたい。

そう思いながら半ば八つ当たり気味にベルトとボタンを外してチャックを下ろす。

そして夏見のモノの位置を探ろうと下着に手を伸ばした。


「…っ…!」


下着に触れた瞬間、それの場所はすぐにわかった。

探らなくてもわかるほどにそれが硬く大きく主張をしていたから。


…どうせこっちも無反応だろうと思ってたのに、まさかこんなに大きくなってるなんて…。


夏見の情欲を知り、急激に胸の鼓動が高まっていく。

それを悟られないように呼吸を抑えながら私は下着の隙間に手を差し入れた。


夏見のモノは、指先で触れただけでもわかるくらい熱くたぎっていた。

そっと握りこむと、手のひらいっぱいに焼け付くような熱と脈動が伝わってきた。


激しい心拍に襲われながらもそれを恐る恐る引っ張り出す。

恥ずかしくてとても直視することはできなかった。


わざとらしく顔を背けて視線をコンドームだけに集中させる。


初めて封を開けて手にしたコンドームは、オイルのようなものをまとっているのかベタベタしていて妙な甘い香りがした。


『わかるよ!』なんて豪語したものの、使い方は完璧にはわかってない。


友達や雑誌の体験談から得た知識だけを頼りに私は視線を逸らしたまま手探りでゴムをモノの先にあてがった。

そしてぎこちなく引き下ろしていく。


なんとか根本まで到達して、私はホッと胸を撫で下ろした。


「…これで、いいでしょっ…?」


間違ってないよね? 大丈夫だよねっ?

不安いっぱいに夏見を見上げると、夏見の手がポンポンと軽く私の頭を撫でた。


…褒めてもらえた…?

その悦びに体中が満ちてゾクゾクと感極まってしまう。


けれど、こんな単純に一喜一憂していたらいつまでも夏見のペースに振り回されっぱなしになってしまうと我に返って、とろけそうになっていた気持ちを引き締めた。


「なんか子供扱いされてるみたいなんだけどっ…」


高揚を押し殺して不平を漏らすと、夏見は柔らかく口元を緩めた。

優しくもあり生意気でもあるその微笑みに私の心はいともたやすく揺さぶられてしまう。


「撫でて欲しそうな顔してたから」

「えっ!? そんな顔してないよっ」

「してた。嬉しそうな顔も」

「しっ、してな…っ!」


夏見とは違って自分はそんなにも気持ちが表情に出やすいのかと動揺しながらも無理に強気になって否定していると、夏見がやんわりと私の肩を抱いて床へと押し倒した。

それがやっぱり子供をあやすような手つきに思えて私はますます悔しくなる。


「その顔は可愛くないよ」

「…っ、だって、夏見が落ち着きすぎててムカつくんだもん…っ」

「全く落ち着いてないけど」

「めちゃくちゃ落ち着きまくってるじゃんっ! 『好きです』って言ってくれたときはあんなに可愛かったのにっ…!」

「広瀬は、『欲しい』って言ってたときの顔が良かった」

「なっ…!! うっ、うるさいっ!」

 

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